はじまってみれば。

ずうっと行きたがっていただけあり
龍は毎日、幼稚園を楽しんでいる。

元来、環境適応力が高く、
社交的で明るく素直な性格である。

同年代の子も大人も老人も
いつも誰かれなく仲良しになる龍にとって
幼稚園は楽しくて仕方ない場所、らしい。

入園式。
霙まじりの寒い日。
誇らしそうに照れくさそうに
ほかの子らとホールに行進してきた龍。
ああおおきくなったなあ。
あんなにちいさかった、
もちろんいまだってちいさい龍なのに
(まあ実際はほかの園児よりあたまひとつ抜けていて、入園式でも誤って年長クラスを案内されたのだが)
やっぱりこんなにおおきくなったんだなあと思うとたくさん涙が出る。
かわいらしい龍。

毎日の園生活も楽しんでいて
先生はこんなことをいったよ、
今日はこんなうたをならったよ、
おいかけっこしたんだよ、
紙芝居をしたんだよ、
と、身ぶり手ぶりでずうっと教えてくれる。

バスに乗るときはこちらを見向きもせず
今週までときどき早帰りの日があり、
幼稚園が早く終わるのはつまらないだの
園までお迎えに行くと
(龍の希望でバス通園にしたので、本来は帰りもバスであるが、給食の出ない早帰りの日は迎えに行っている)
バスで帰りたいからお迎えは来ないでなどと言っている。

そのわりにはお迎えのとき、
何度も保護者が出入りする門を確認しているのが見えたり
夜中にうなされたりしていることもあり
彼なりにストレスを抱えてもいるのだろう。
(うなされるのは主に給食が原因のようである)

近所のスーパーマーケットや魚屋さんやコンビニエンスストアや
いつも龍と行っている場所にひとりで行くと
みなさん、あれ?りゅうくんは?とか
今日はお留守番?などとおっしゃる。
幼稚園なの!なんだかこちらが淋しくって、とこたえると、
もうすぐに産まれるんだから、
淋しいなんていってられるのいまだけよ、
などと笑われたりする。

そうなんだよなあ。
幼稚園に行ったと思ったら
またイチ、いやゼロからのスタートで
私、育てられるのかなと
なかば本気で心配になる。

ちなみにまだ気持ちが悪いし
骨盤ベルトをしないと歩けない。
もはや産むまで気持ちが悪いのだろうと、
残念ながら腹をくくり、
骨盤ベルトをしながらのいちにち10キロ目標のウォーキングを
龍の妊娠時と同じく先週からスタートした。
(実際は時間がなくて8キロくらいしか歩けないけど)

そんなこんなのまいにちだ。

おなかの子もいよいよ8ヶ月。
蹴られまくっておなかが痛い。
しかしそんな成長の感慨に浸る間もない。

そういえばまいにち何かと笑いを提供してくれる龍なのだが。
今日は寝るまえに、
りゅうはすみれ組の先生がすきなの!
と教えてくれて、
それがおかしくてこっそりと笑ってしまった。

ちなみにりゅうはすみれ組ではなくたんぽぽ組で、
そもそもすみれ組は年長クラスなので接点はないはずである。

すみれ組の先生は、やさしいおかおをしているの!
と、りゅうは主張している。

どうしてすみれ組ってわかるの?
と尋ねると、
むらさき色のバッチをしているんだよ、と、
なかなか侮れない観察力である。
直接、その先生と話したことはないそうだが、
ときどきなにかの連絡をしに、たんぽぽ組にやってきて、
たんぽぽ組の先生(二人いる)に何かを伝えているそうだ。

たぶんあのひとかな?と思う先生がいるのだが(年長の先生で、幼稚園全体の主任もされているとてもきれいな先生である)、
判然としない。
今度、お迎えに行ったら、どのひとか教えて?とお願いしておく。

楽しみがまたひとつ。
うふふ。

熱が下がったと思ったら
翌週には中耳炎と胃腸炎を併発し、
また熱が出た。

龍は3月末に毎年、体調を崩す。
かくいう私も3月に弱い。

中耳炎もやっと落ち着き、
いよいよ今週は入園式である。

指折り数えて待っていたはずの龍が、
今夜、眠るまえにはじめて、

りゅうね、ほんとうはようちえんいきたくないの

と言った。

…そうなんだ。
そうだったんた。
やっぱり目の前にしたら不安になってきたのだろうな。

ほんとうはずうっとおうちにいたいの。

という龍。

でも龍、幼稚園たのしいよ?
先生もお友だちもたくさんいるよ?
それに幼稚園に行っても、帰ったら母さんとずうっと一緒なんだよ?
だから母さんといる時間は同じなんだよ?

そういうと、
すこし安心したのか、
ほどなく眠りにつく。

龍。
母さんも龍とずうっと一緒にいたいんだよ。
ほんとうだよ。

でもね。

龍はきっと幼稚園、すごく楽しめると思う。

たくさん遊んでたくさん笑って
たくさん大きくなると思う。
ときには泣いたり喧嘩したり悔しかったり
そんなこともたくさんしながら。

すぐに笑ってばいばいいってきますって
母さんを淋しく頼もしく思わせるんだろうな。

なんて。
母さんは最後まで、保育園が大嫌いだったんだけれどもね。
でもそれは、内緒のはなし。


すっかりと春だ。
満開の桜を龍と眺めながらそぞろ歩いている。
あたたかい日。

先週のなかばの夜、
龍が突然、発熱。
40度。
翌午前中には下がったのだが
念のため病院に行ったり
数日はだいじに過ごしたりの日々を過ごす。

幼稚園の入園準備もほぼ終えているし、
遠出をする予定はないし、
毎日なにやかやと用事があり
スケジュール帳は毎日びっしりしているものの
とはいえのんびりした状況ではあるのだが、
やはり子どもの体調が本調子でないのは
どこか気が重くすっきりとはしない。

週末はお花見をする。

どようびは仕事に行く夫を見送りがてら
バスに乗り、
小滝橋の欄干から桜を眺める。

にちようびは近くの公園で
いっぽんきりの桜の古木を独占しながら
ピクニックをする。
まだ五分咲きというところだが
みんなで桜を見られて
持ってきたお弁当を囲んで
のんびり過ごすしあわせ。

来年は4人なんだね。
と不意とおもい
夫にいうと
そうやなあ!と夫は笑う。
おなかの子どもはますます元気にぴくんぴくんと動き
手をあてる夫の真似をして
龍もおなかに手をあてる。

わかりますか、赤ちゃん。
あなたのおにいちゃんの
あたたかいかわいらしい手。

先週は3週ぶりに健診。
おなかの子は順調。
私だけ不調。

気持ちが悪いのがまだ終わらない、と
お医者様に相談すると、
食べ過ぎだと思いますよ、とのこと。

た、食べ過ぎ?

え?
という反応をしたせいだろう、
体重もだいぶ増えましたよね?と追い打ちをかけられる。

そんなに食べてるかなあ…
という顔をさらにしたせいだろう、
運動をするより、口から摂取したものがやはり大きいんですよ、と更に募られる。
やれやれ。

いま妊娠前よりプラス4~5キロ。
私は出産時にプラス7~10キロまで良いといわれている。
(勝手に決めているのではなく、BMIの数値から産科で指示されている)

龍のときも同じ目標値で、出産時はプラス6キロ。
どう考えても、食べている量は龍のときのほうが多いのだが、
思い出してみるに、あのときは毎日10キロウォーキングしたり、毎日自宅ヨガを1時間くらいはしていたんだよなあ。
(だってそうすると安産につながると何かに書いてあったし)

いまは歩くといっても龍と同じペースだし、
ヨガをやるほど元気がない。
(だって気持ち悪いし骨盤は激烈に痛むし)

食べる量を減らせば、気持ちが悪いのも軽減すると思いますよ、と最後に言われ、
では、と、少しばかり実践すると
確かに気持ちが悪いのが軽減されてきた。

そ、そうなのか?
本当に単なる食べ過ぎ?

しかし念のため夫に、
私、そんなに食べているかなあ?と確認するも、
食べてへんやろ~と言われるし、
自分でもそう思う。

も、もしかして。
つまり年齢なのかなあ。

実際、もうすぐ41歳だし、
確かに消化能力は、妊娠を除外したとしても落ちている。
さらに運動をしていないし、
したとしても代謝も落ちているから、
体重が増えてしまっている、というところか。

とにかく気持ちが悪いのはもう嫌なので、
食生活の見直しをしてみようと思う。

思うんだけど、本当にそんなに食べているかなあ?私。

ある日の私。

朝ごはん
焼き魚半切れ
ごはん茶碗はんぶん
野菜たくさん味噌汁
サラダ

昼ごはん
サンドウイッチ

晩ごはん
ひじきの煮物
ほうれん草ナムル
ごはん茶碗はんぶん
味噌汁

間食
しょうゆせんべい1枚

これがある日の、というか
だいたい毎日の私、である。

別にごはん茶碗が実はラーメンどんぶりというわけでも、
せんべいが直径30センチメートルというわけでも、
ないのだけれども。

ううむ。

どようびは法事で長野へ。
奇しくも北陸新幹線の開業日と重なり、
東京駅のホームも新幹線も長野駅も混雑である。

朝早く行き、夕方に東京に戻る。
つ、疲れた。

週明け早々、小淵沢へ。
幼稚園にあがる前の、龍との最後のふたりたび。

もうホテル周辺には雪がなく、
山でスキーする?そりする?
と尋ねるも、
りゅうはプールがいい!
と、滞在中はずうっとプールで泳ぎ倒す。

龍はプールが好きだ。
スイミングでも、沖縄でも、
じゃぶじゃぶ池でも、
それがプールならとにかく楽しくなってしまう、らしい。

りゅうはね、おみずがすきなの!

と、よく言っている。
わかるよ、母さんもお水がだいすきだから。

今回もとにかくたくさんプールで泳ぎ、
満足できたようでうれしい。

幼稚園に入り、
ほどなく二人目が産まれたら
龍のだいすきなプールへもなかなか連れて行ってあげられなくなる。
だからできる限りがんばろう、と今回は決めて旅に出たのだが、
もともと水と相性がよいせいか
私もまったく疲れることなく
楽しく過ごせた。よかった。

最終日(というか今日)は、
近くの牧場で乗馬をし(もちろん龍だけ)、
羊や山羊やうさぎにごはんをあげたりと
たくさん楽しむ。

昼すぎのあずさで東京に戻る。

ああたくさん遊んだな。
たくさん。

私がなぜなんのために
いまこの時期にこんなにたくさんあちこち龍を連れまわしたくさん遊んだのか
龍にはわからないことだろう。

でもそれで構わない。

龍のなかに
たくさんのたのしい気持ちが
いまというときだけでも
湧いていてくれるなら。

これであとは幼稚園の入園を迎えるのみ。
明日からちゃんと準備をしよう。
龍は入園を指折り数えて楽しみにしている。

気持ちの悪さも
入園までにおさまりますように。

PUPPPはさらに悪化。
痒みで眠れなくなったので
ステロイド塗布を開始。
嫌だけど仕方ない。





週末は秋保温泉へ。
東京から、行きはやまびこ帰りははやぶさと、
新幹線をわざわざ変えるところが男児の母っぽく。

旅に出るときは龍とふたりが多いのだが
今回は夫とさんにんで。
うれしい。

私たちは3人とも東北新幹線に乗ったことがなく、
仙台もはじめて。

龍はやまびこ号に喜び
(帰りははやぶさに喜ぶ)
仙台へ。
仙台からはタクシーで秋保まで。
雪があるかな?と思いきや、
今年は2月前半を最後に雪が降っていないそうである。

宿はSというところ。
期待していったのだが、
夫も私も龍も気に入っている月岡温泉のKにはすべての面で遠く及ばず
(値段は近いのに!)
いろいろと残念だったが、
夫ものんびりできたようだし
龍は楽しかったそうだし
よかったとしよう。

産前に必ずKに行くぞ!

今日はPでパン作り。
龍も私もこねこね。
できたてふあふあのパンをいただき、
満足。

ポリオの摂取も済ませ、
(今回はまったく泣かず。がんばったね)
あとは入園前は日本脳炎を残すのみ。

今度の週末は法事で長野。
にちようびは予定を入れなかったので
園グッズに名前を書いたり
アップリケをつけたり
(付けないといけないんだそうな)
を、一気に済ませようと思う。

ところで。
まさかのPUPPPに。
またなってしまった。

龍のときにもなった、
恐怖の妊娠性痒疹、PUPPP。
妊婦の1%がなる、いや1%しかならない、といわれているPUPPP。
今回は絶対に避けようとケアしてきたのに、
やっぱりというかなんというか。

ひとつきほど前から嫌な予感はしていたのだけれども。
先週から疑いようもなく痒疹が出てきて、
おなかまわり、腰まわり、
両足全体が無惨になりつつあり、
また痒くて眠れなくなりつつある。

とにかく1日中、
痒い。
掻きたい。
でも掻くと余計に酷くなるとわかっているので
ひたすら我慢をしている。
いまのところ。

悪阻がまだあるうえに
さらにこの苦行。
私の妊娠生活ってなんなんだろうか、本当に。

まだ妊娠性疱疹が顔に出ないだけ
前回よりはましか?
(前回は痒疹だけでなく疱疹まで出たのだ!しかも顔中に…)
しかし前回は18週で悪阻は終焉したしな。
ううむ。

いずれにせよどんなに苦しくても
産まれたら終わるのが悪阻とPUPPP。
あと4ヶ月弱、
頑張れ、私。

明日で震災から4年。